2015/10/01

第2回 蒲生会大和荘

県内初の施設として、健全かつ逞しい児童育成、 児童の自立支援事業等にも積極的に取り組んでいます。

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蒲生会大和荘[荘長]長谷川 正 さん

IMG_2686  愛知県尾張旭市にある大和荘は、県内で一番最初に設立された施設です。戦後間もない昭和21年に戦災孤児を中心とした「名広愛児園」の子どもたちのための開墾農場としてスタート。その後、昭和24年に財団法人「蒲生会大和荘」設立認可、昭和27年に社会福祉法人へ組織変更しました。 現在は大舎制の施設で、幼児から高校修了前の児童、合計60名が生活しています。アットホームな対応を基本として、他人に迷惑をかけないこと、立て合い、助け合いの精神を育むと共に、雑草のように逞しい児童の育成を目指しています。さらに児童の自立支援事業、地域福祉活動にも積極的に取り組んでいます。

蒲生会大和荘[次長]長谷川 裕 さん

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★子どもたちの将来を見据えて。 大和荘 が普段の生活の中で、まず大切にしていることは、創設当初から毎朝行っているラジオ体操と児童朝礼です。特に児童朝礼では、みんなが安心して暮らせるよう、身近な事件や日ごろの心得など職員が日代わりでいろいろな話しをしています。また、子どもたちと接する上で心がけていることは、できる限り子どもたち をありのまま受け止めることです。例えば、すぐに暴力を振るってしまう子がいたとします。それは暴力を振るいたくてしているのか?ここに来るまで、その子はどんな生活をしていたのか?など、子どもひとり一人の背景を理解した上で接するようにしています。そして、ただ受け止めるだけではなく、将来的には一人で生活できるよう支援する。社会に出たときに直面するさまざまなことに対応できるよう指導しています。そうした大和荘での生活は、厳しいと感じている子どももいると思いますが、いずれ社会に出たときに分かってくれたらと願っています。

★心理士による内面のケアも。
子どもたちの育ってきた背景や入所理由は、ひとり一人違います。いずれの場合も子どもひとり一人に応じた対応を心がけています。特に親の事情で入所している子は、大人に対して心を開くことができず、人との接し方に戸惑う子が多いのが現状です。もちろん、子ども同士で生活していく中で、人との接し方が自然と学べていく子もいますが、対人関係を築いていくことはなかなか難しいようです。そのため内面のケアの一つとして、心理士による面談やセラピーを実施しています。これによって、子どものコミュニケーションの特徴や大人との関係の持ち方、また過去の出来事が現在の自分の感情や考え・行動にどのような影響を与えているかなどを把握し、子どもたちとのより良い関わり方を考えるとともに、保護者や関係する支援者に助言するための一助としています。

2×2人部屋IMG_0944喫茶室IMG_0934大和荘P1100482 左:施設内、子どもたちが生活する4人部屋 中:喫茶室(地域交流スペース) 右:大和荘エントランス

蒲生会大和荘[保育士]小島 優子さん

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★「恩返しがしたい」そんな思いで保育士に。
私は子どもの頃、児童福祉施設で育ちました。その経験から、自分をここまで育ててくれた方への感謝、お世話になった児童福祉施設に恩返しがしたいという気持ちで保育士の道を選びました。 児童養護施設や施設で働く職員には、さまざまな役割があると思いますが、保護者と離れ、保護者に頼れない状況にある子どもにとって、まずは保護者のように支えてあげられる、保護者のように頼ることができる大人が必要なのではないでしょうか。実際、子どもたちとの日々の関わりの中では、相手がいくら子どもであっても、対人間なのでお互い傷つくことや感情的になってしまうこともあります。しかし、そこを乗り越えてお互いの信頼関係が育むことができたり、自分自身の経験を生かし、子どもたちに力強いと思ってもらえるような応援ができたらいいと思っています。

★子どもたちと一緒に成長できることが嬉しい。
現在、女子寮で小学生から高校生までの子どもたち20人を私を含めた5名の職員で担当しています。子どもたちとの関わりという点では、生活のサポート、声掛けはもちろん、担当している子どもひとり一人と毎日5分間は何らかの形で関わることを心がけています。そうすることで、子どもたちの小さな変化や成長を感じ取ることができます。子どもたちは、それぞれいろんな環境や境遇で施設に来て生活していますが、例えば地域の子どもたちと変わらず日常を過ごし、わがままな一面を見せたり、時には気遣いの心を見せてくれたりと毎日変化していきます。子どもを相手にしているので、常に日々何らかの成長が感じられるんです。そんなひとつ一つのことが嬉しい。 そんな中、担当していた子が「将来は先生みたいになりたい!」と言ってくれたときは、嬉しさとともに、私自身「子どもたちのいいお手本となる保育士にならねば!」と、改めて思いました。この仕事のやりがいは、すべて子どもに集約されているように思います。子どもたちと一緒に自分も成長できること。それが一番のやりがいなのかも知れません。

運動場フットサルIMG_1178幼児園庭三輪車IMG_1174多目的ルーム 左:運動場 中:幼児園庭 右:多目的ホール(地域交流スペース)

蒲生会大和荘[児童指導員]松平 昭浩さん

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★正解はない。自問自答の毎日です。
僕はこの仕事を始めて今年で19年目。前職は高校の講師や大学の実技助手をしていました。当時縁あって、子どもと関わる仕事を探していたときに先輩から紹介していただいたのが、大和荘でした。ここに来てまず感じたのは、学校で生徒として子どもを見るのと、施設で生活として子どもと関わるのは全く違うということでした。そのギャップに戸惑い、4、5年経ってやっと子どもたちとコミュニケーションが取れるようになりました。 そして現状、まず子どもに施設は安全で安心できる場所であることを分かってもうよう努めます。大半の子どもたちは、自分で施設に来たくて来ているのではなく、勝手な大人の事情で生活環境が大きく変わるわけですから、彼らの負担ははかり知れません。関わり方はさまざまで、子どもひとり一人の年齢や性格、ここへ来た事情などを考えながら接するようにしています。また、精神的に不安定な子が多いので、叱り方一つにしてもタイミングや場所、言葉も選ぶようにしています。けれど18年やっていても”これで本当に良かったのか?”と、自問自答の日々です。ずっとこの仕事をしていく上で、答えは出ないのかもしれません。子どもと関わるためのマニュアルがあるわけでもないのではないので、ずっと悩み続けているというのが本音ですね。

★願いは、子どもたちが自立できる力を身に付けてくれること。
過去18年間は男子寮で、小学生から高校生までの男子を担当してきました。具体的には、子どもたちと同じ時間を過ごし、生活をサポート、自立に向け行動や意志を引き上げる。家庭でいう、お父さん、お母さんのような役割を担ってきました。そして今年4月からはファミリーソーシャルワーカー(家庭支援専門指導員)として、男子寮、女子寮、幼児寮を問わず全体を担当。子どもたちと家庭とのパイプ役であったり、いずれ家庭復帰できる子どもたちの支援などを中心に行っています。 いずれにしても願いは、施設を出た後にきちんと自立できる力を付けて欲しいということです。施設に入った子の中で、家庭に戻る子は、正直ほんの一部。卒業した後はそれぞれ自立して生活する子がほとんど。ですから、子どもたちの巣立ちを支えることが、僕たちのとても大切な仕事だと考えています。

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※掲載されている情報は、2015年10月現在の情報となります。

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