現状レポート

2019/02/15

取材第22回-3週目 福祉型障害児入所施設 トイBOX [心理指導担当職員] 村山穂香さん

子どもたち、スタッフ、施設のみんなの架け橋のような存在になりたい

福祉型障害児入所施設 トイBOX [心理指導担当職員] 村山穂香さん

福祉型障害児入所施設 トイBOX [心理指導担当職員] 村山穂香さん

大学の心理学部を卒業後、こちらに就職しました。1年目は児童指導員として、2年目の今年は心理指導担当職員として勤務しています。
この仕事についたきっかけは、高校生の頃に聞いた母の言葉です。「自分は何がやりたいんだろう?」と悩んでいた時、幼稚園の頃の私が障がいのある友達を放っておけなかったこと、一緒にご飯を食べたり靴をはくのを待ってあげたりしていたことを話してくれました。そこから障がいのある子どもへの支援に興味を持つようになり、福祉を学ぶ道へと進みました。
学生時代、通所の障害児施設でのアルバイトや、施設のクリスマス会、餅つきなどのボランティア経験を通じ、朝起きてから夜寝るまで、子どもたちの生活全般を支援していきたいと思い、こちらへの就職を希望しました。

2年目は、まさに0からのスタート。毎日が新鮮で慌ただしく過ごし、ようやく慣れてきた頃、「心理指導担当」になってみないか?と声をかけていただき、正直迷いました。自分がどんな立場で仕事をすればいいか悩んだこともありましたが、ようやく自分の役割が見えてきた感じです。今は担当の子は持っていませんが「全員が担当」という意識で子どもたちに接しています。
具体的には、それぞれの子と月に数回「お話し」という形で面談をしています。子どもたちには、担当スタッフに言いにくいことがあれば言ってね、どんなことでも話してね、と伝えています。また、スタッフの人たちとも、できるだけ直接話をする・対面でのコミュニケーションを大切にしながら、子どもたちの情報を共有するようにしています。子ども同士・子どもとスタッフ、施設内での人間関係の架け橋になっていきたいですね。

子どもたちの中には障がいがあることで、自分の気持ちをうまく伝えられない子もいます。また、担当スタッフ・心理指導担当・第三者それぞれに伝えることが違う場合もあります。そんな時、「私はあなたのいうことを信じるよ」というスタンスを大切にしています。もちろん、明らかに嘘である場合もあります。嘘だとわかっていても、いったん受け止める。子どもの気持ちをまず受け止めてあげることが大切だと思っています。

この仕事を始める前は、自分自身がすごくストレスを感じるのかな?と思っていたけれど、子どもたちと全力で向き合い、接することで発散できることに気づきました。
例えば、縄跳びの縄を回す時もダラダラ回すのではなく、一生懸命回す。勉強を見る時にも、真剣に見る。クリスマス会の時、子どもたちが一生懸命演じる姿や、スタッフの懸命のサポートもあって大成功したのを見た時、大人が全力で接することが子どもたちに伝わるんだ、全力で接しないと子どもたちもついて来ないんだと思ったんです。後から思い出したのですが、中学校の時、ほほえみクラスという特別学級があり、そのクラスの担任の先生が、子どもたちに何でもやらせる、そして自分が全力でサポートする人だったんです。危ないからやらせないのではなく、危なくても気をつけてやること、見守ってあげることでチャレンジさせることができる、そんな先生の姿に、自分もその先生のような大人になりたいと思っていたんです。

トイBOXでは、今年の4月から性教育に取り組みはじめました。同法人の風の色から資料を借りてきて始めたのですが、来年度はもっとトイBOXの子どもたちにあった指導方法を見つけていきたいと思っています。まだ自分のことで精一杯の状態ですが、2年目の私にも、6人の後輩がいますので、これからもっと自分の経験などを後輩に伝えていけるようになりたいです。障がいを持つ子も持たない子もそれぞれに「頑張っています」。そんな子どもたちの現状を知っていただくには、ブログを読んだり、またボランティアに来て、実際に子どもたちと触れ合って欲しいと思っています。施設で暮らす子どもの中には、親に会えない子もいます。そんな子どもたちに愛情を注ぐことも、支援の1つだと思います。

 

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※掲載されている情報は、2019年1月現在の情報となります。

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