現状レポート

2019/11/08

取材第29回-2週目 自立援助ホーム いっぽ [保育士・児童指導員]土本 恵さん

子どもたちといることで、私も救われている・支え合っていると感じています

自立援助ホーム いっぽ [保育士・児童指導員]土本 恵さん

 20191001ipoo_IMG_9379学校を卒業後、保育園・幼稚園で保育士として勤務していました。その後、結婚・出産・そして離婚を経て、働き場所を探していたところ、お世話になっている教会の知り合いから、いっぽを紹介していただき、今年の7 月から勤務しています。主な担当業務は、掃除・洗濯・夕食の支度・お知らせづくりなど、子どもたちの生活全般のサポートです。私自身、2 歳と5 歳の子育て中であるため、今は日中のみの勤務となっています。
「児童養護」については学生の頃から知っており興味も持っていました。思春期の難しい時期の男の子ばかりだし、周りの人から「厳しい言葉を投げかけられることもあるけど大丈夫?」と言われていたこともあり、初めは少し心配でした。でも、実際に子どもたちに接してみると、高校生なんだけれど、まだまだ幼い、可愛い部分も沢山あって、小さな私の子どもたちと変わらないんです。

私自身もそうですが、自分の心のキズを人に話すのは大変、簡単なことではありません。また、1 度キズつけられると、もう1 度心を開き、人を信じられるようになるには時間がかかります。世の中にはどうしても悪い人もいます。だけど良い人もいるんです。血の繋がりだけじゃない、血が繋がっていなくても、自分を大切に思ってくれる人がいるということを伝えたいですね。どの子も本当に自分の子どものように可愛くて、つい感情移入してしまいます。できることなら全員自分の養子にしたいほどですが、現実には無理なことなので、線引きも大切だと思っています。だからまず、私も自分の生活を確立し子どもをきちんと育てたい、そしていつか養育里親をやっていければとの思いも持っています。

子どもたちを「手助けしたい」と思ってここに来たはずが、逆に子どもたちに勇気づけたもらったり、助けてもらったりと感じることも多いです。生い立ちやこれまでの生活について話しを聞くと「本当にこれまでよくがんばってきたね」と言いたくなる子ばかりです。なのに、私の境遇も理解してくれ、心を寄せてくれている。子どもたちといることで私も救われている、支え合っているんだと感じます。だからこそ、人を「信じる心」を持ってほしい。社会は人でできており、人と人との繋がりなんです。自分から心を開き、困った時に「助けてください」と言えることも大事だと伝えたいですね。そして「許せる心」を持ってほしい。私自身、父との折り合いが悪く、関係を修復することができないまま、父が亡くなってしまいました。「許せない」のは自分も苦しいんです。だから子供たちには、相手を許すことができる心を持ってほしい、そして何よりも自分も許されている存在だと知ってほしいです。

これからいっぽでやっていきたいことは、子どもたちと一緒に畑で植物を育ててみたいですね。土をいじり、自然の中に体を委ねると、体も心もほっと癒されます。子どもたちが自然と触れ合うきっかけになるといいなと思っています。

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※掲載されている情報は、2019年9月現在の情報となります。

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