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施設レポート

第7回 中日青葉学園(あおば館)

「われらが学園」をモットーに、子どもに寄り添い、ニーズに応える姿勢を大切にしています

中日青葉学園 あおば館[学園長・あおば館館長]松田 正憲さん

001_IMG_4476社会福祉法人中日新聞社会事業団が運営する児童養護施設あおば館は、児童心理治療施設わかば館が併設されている全国でも数少ない複合型の施設です。敷地内に日進市立北小学校・日進中学校青葉分校も併設、子どもたちの生活と学習を一体的に行っています。
中日青葉学園は昭和35年、大舎制として開設。その後、平成15年10月、施設の建て替えを機に、わかば館の新設と中舎制がスタートしました。更に、児童養護は「施設養護」から「家庭的養護」へとより小規模化を求める国の方針に対応し、平成25年から小規模ケアへの取り組みを開始。今後、家庭的養護推進計画に従い、平成41年までにすべて小規模グループケアへと移行していきます。

私たちの学園では、子どもたちが安全・安心、楽しく生活できる環境づくりに力を入れています。施設での生活は集団生活であり、子どもたちはもちろん、働く職員も一人一人違う。だからこそ、子ども一人一人を大切にしながら、子どもに寄り添い、ニーズに応える姿勢を大切にしています。集団で生活する以上、食事、入浴、学習といった日課、テレビを見たりゲームをする時間、門限などなど学園でもさまざまなルールがあります。こうしたルールが守られない時、ゲームや遊び方を巡る子ども同士のトラブル、登校しぶりなどの問題にどう接するのか。入所してくる子どもたちが抱えるさまざまな背景を考えると、私たち児童福祉の現場では難しく手厚い対応が求められています。子どもたちが何かで悩んだり、問題を起こした時、私たちは大人の考えを押し付けるのではなく、子ども目線で子どもと一緒に考え、自分で解決する方法を身につけてほしい。制約のある施設ではありますが、子どもたちが望むことにできる限り応えてあげたい。予算、人手などの面から実現するにはハードルは低くはないのですが、そんな施設でありたいと思っています。

中日青葉学園の制度の一つに、高校卒業後、専門学校・大学等に進学を希望する子どもたちに、中日新聞社会福祉事業団から学費の援助が受けられる制度があります。何人かの子どもたちがこの制度を利用することで、将来の道を切り開いています。

002_IMG_4589003_IMG_4592004_IMG_4586左:「日進市立北小学校・日進中学校」青葉分校
中:子どもたちがケガをしないように、人工芝が敷かれています
右:多目的ホール クリスマス会・巣立ちの会などわかば館との合同行事や、分校の授業で使います

中日青葉学園 あおば館[児童指導員]篠原 江里さん

005_IMG_4536 ★一人一人がその子らしくいられる、ほっとできるホームでありたい
新卒で青葉学園に就職し、今年の4月で6年目になりました。現在、小学1年生から高校3年生までの8人の女の子の小規模ホームで、生活を支援しています。
この仕事に就いたのは、中学生の頃の体験がきっかけです。同級生に対する周りの人たちの接し方に疑問を持っていました。問題とされる行動に注目するのでなく、「寂しい」「苦しい」と思う心に気が付いてほしいと感じていました。この時の経験から、私は子どもたちの言葉にできない気持ちを理解できる大人になり、そうした子どもたちの成長を支えたいと、児童福祉の道を目指しました。

あおば館は、H25年10月に中舎4ホームのうち1ホームを8人ずつの小規模2ホームに分割するのを手始めに小規模化が始まりました。私は、ここで中舎から小規模ホームへと仕事場が変わりました。ホームが16人の大世帯から8人に減ったことで、難しいこともありますが、私たち職員は子ども一人一人と向き合う時間が増え、子どもたちと他愛もない日常の会話をしたり、疑問に思ったことについて話し合ったりできる時間が増えました。誕生日会をその子の誕生日当日に開けるようになり、子ども同士でサプライズ演出をすることも増えて来ました。私もサプライズで誕生日を祝ってもらってとてもうれしかったです。みんなの中にあたたかい心が育っているんだなと、実感しました。一緒に暮らす子が「誕生日おめでとうって言葉が一番好き、生まれてきてくれてありがとうってことだから」と話してくれたことは今も強く心に残っています。

子どもたちに接する上で気をつけているのは、上から目線にならないこと。子どもの目線で子どもの気持ちに寄り添える大人でありたい。治してほしいことはきちんと伝えるけれど、子ども自身を責めないように気をつけています。そのためには、私たち職員も心に余裕を持つことが大切。あおば館では、年に1度長期休暇を取得できます。先日、私も10日間海外旅行に行ってきました。しっかりとリフレッシュすることで、気持ちに余裕ができて、新たな気持ちで子どもたちに接することができています。私たち働くものにとっては、とても良い仕組みだと思います。

中日青葉学園 あおば館[主任心理士(臨床心理士)]山内 早苗さん

006_shinnri ★安心できる場所があるから「がんばれる」。生きやすくする力を身につけて欲しい
学生時代から、人の心や人の心のケアに興味があり、心理学の道へ進みました。心について学んでいくうちに、まずは自分自身が癒される必要があることに気づき、自分を癒すための心理学を学びました。大学院を卒業後、アルバイト先の人に中日青葉学園の求人があることを教えていただき、この学園で働くことになりました。児童福祉について初めは専門外でしたが、学園に就職してから実務を交えながら、新たに学んでいきました。あおば館では、常勤の臨床心理士として男女1人ずつ計2人の臨床心理士が勤務しています。多くの場合、児童福祉施設では、常勤の臨床心理士は1人体制ですので、あおば館の特徴の一つです。また、この2人体制であることが、臨床心理士として働く上での働きやすさにも繋がっています。

児童福祉施設における臨床心理士の1番の仕事は、子どもたちの「心のケア」ですが、多くの場合、子どもたちの生活指導やサポートも行っています。そのため、日々の忙しさの中で、自分自身が「臨床心理士として何が出来るのか、何をしないといけないのか」を見失ってしまうこともあります。児童福祉施設で生活する子どもの多くは、複雑な家庭環境で育ったために、それぞれに問題を抱えており、生活のサポートに加え「心のケア」も重要です。自分に迷いが生じた時、臨床心理士がもう一人いることで、相談できたり、臨床心理士としての意見を聞けることは貴重です。子どもたちにとっても、男女一人ずついることで、相談内容に応じて、同性・異性を選択できるようになり、相談しやすい環境になっていると思います。

またあおば館では、子ども一人一人に合わせた個別の心理療法に加え、集団での心理療法にも力を入れています。常勤の臨床心理士2人に非常勤の臨床心理士1人を加えたスタッフ3人と小学校高学年の子ども3人で行う集団療法「心の教室」は、「尊重」と「安全」の二つのルールのもと行われます。子どもたちは、今までの生活環境の中で、傷つけ合うコミュニケーションに慣れてしまっていることが多いので、温かい心の交流を大切にしています。「自分を大切にすること」「自分の気持ちを大切にしながら、相手の気持ちを大切にすること」を伝える場を目指しています。
集団の心理療法のメリットは、1:1だとなかなか心を開けない子どもでも他の子が一緒にいることで参加しやすく参加のハードルが下がることや、スタッフ同士で子どもたちの様子をシェア出来ることなどが挙げられます。「心の教室」は子どもたちにとって「安心できる場所」の一つ。子ども自身が少しでも自分で生きやすい環境をつくるための力を養う場になって欲しいですね。

中日青葉学園 あおば館[指導係長・あおば館統括]阿尾 匡晃さん

007_IMG_4581 ★より良いサポートを行うために、働きやすい環境づくりも大切にしています
体育学部出身で、大学2年生の時、中日青葉学園にサッカー教室のボランティアに来たのが児童福祉との出会いです。もともと子どもが好きだったこともあり、大学を卒業後、専門学校で福祉の知識を身につけ、中日青葉学園に就職。現在は、指導係長として、あおば館を統括しています。子どもたちが安全・安心で暮らせる環境を整えるためには、子どもたちの生活をサポートする職員の存在が不可欠です。あおば館を統括する立場として、一番気をつけていることは、職員の勤務状況です。職員一人一人がきちんと休みを取れるように、また子どもたちのケアが手薄にならないよう適正な人員配置に気を配っています。具体的には、宿直勤務は2日間続けない、休暇届に基づく10連休のリフレッシュ休暇制度、年次休暇を年間5日以上取れるようにするなどに気を配りながら職員が働きやすい環境を整えています。

また、今年から「話しやすい環境づくり」に力を入れています。今、あおば館には全部で5つのホームがあります。以前はこの5つのホームの職員全員で職員会議を行っていましたが、今年から各ホーム単位で行う事に変更しました。その後、その話し合いの結果を報告するようにしています。各ホーム単位で行うことで、それぞれが意見を言いやすい環境になりました。職員一人一人が自分の思っていることを話しやすい場を作ることは、情報の共有はもちろん、風通しの良い職場環境にも繋がっています。
この仕事は、正解も終わりもない・やることを見つけ出したらキリがない仕事です。がんばる人は、とことんがんばってしまうことも多いので、一人一人の職員が元気でいるかに気を配り、時にはゆっくりリフレッシュをする機会を持つように促しています。

全体を統括するようになり、担当の子どもを持たなくなったことは寂しくもありますが、さまざまな子どもたちと接してきた経験を活かし、職員のフォローをしていきたいですね。今でもクラブ活動として子どもたちにサッカーの指導をしたり、学園から里親の元へ行った子どものケア、保護者へのフォローなど、子どもを支援する様々な仕事に携わっています。
子どもたちも集団生活の中でストレスを感じています。施設で暮らす子どもたちにとって、学園は「家・家庭」であり、職員は「親」がわりです。子どもたちの「親がわり」として、子どもたちをサポートしていきたいと思っています。

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左:青葉まつり
中:ステーキを寄贈していただきました。
右:いちご動物園訪問

【取材後記】

中日青葉学園あおば館さんでは、子どもたちが安全・安心に暮らせるように職員の皆さんが一丸となり、それぞれの仕事を通じて、子どもたちの支援に携わっている様子が伝わってきました。 また、子どもが転んでもケガをしないように床にクッション材が使われていたり、子どもが見てもすぐにわかるように色分けされた安全マップが配置されていたり、運動場の遊具の周りに柔らかな人工芝が敷かれていたり、子どもたちの安全・安心のための施設整備がきちんと施されているなと感じました。 印象に残ったのは、施設で暮らす子どもが巣立つ時のことです。高校を卒業して就職する際に、就職支度金が用意されるとのことですが、新生活に十分な金額というわけでもなく、家具や家電等の生活必需品を中古で揃えなくてはいけない状況とのことです。「施設で暮らす子どもはもちろんですが、巣立っていく子どもたちに対してもやさしい社会であって欲しい。」 これから社会を担っていく子を温かく迎え入れ、サポートできる社会にしたいものです。



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※掲載されている情報は、2016年6月現在の情報となります。

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