現状レポート

2019/11/15

取材第29回-3週目 自立援助ホーム いっぽ [社会福祉士・児童指導員]亀山 秀範さん

根拠に基づいて子どもたちに同一の支援ができるようにしていきたい

自立援助ホーム いっぽ [社会福祉士・児童指導員]亀山 秀範さん

 20191001ipoo_IMG_9414昨年9月より学校に通いながらパート勤務をはじめ、今年6月から正職員として勤務しています。児童養護の仕事を選んだきっかけは、「子どもの人権」について興味を持ったことでした。子どもの頃、父親から過度のスパルタ教育を受けた私は、不登校の引きこもりとなってしまい、その後、引きこもり支援団体の援助を受けながら通信制高校に通い、大学の法学部へと進学しました。そこで「子どもの人権」について目覚め、どうして、憲法で自由をうたっているのに、子どもや「親」や「学校」に縛られないといけなんだろうと思ったのです。子どもの人権を守る弁護士を目指そうと法科大学院へと進学、そこで出会ったのが、多田元弁護士でした。多田先生は不登校や虐待、少年事件などで、法律家として長年子どもに寄り添い、子どもの人権を守り続けています。また、自立援助ホームの理事もされています。先生との出会いで、子どもの人権を守るのは法律家だけでなく、自立援助ホームのスタッフのように身近で生活に関わっていく支援もあると気づき、より近いところで長い期間サポートしていける社会福祉士を選びました。

現在は2名の子どもを担当するほか、家事全般など日常生活のサポート、事務や会計に関する業務も行っています。常勤の職員となり感じることは、関わる時間が長くなると、子どもの要求も変わってくるということです。宿直専門の時ならノリのいいスタッフで良かったのですが、子どもたちも常勤者に対しては、責任のある態度を要求するようになります。また、子どもとも関わりだけでなく、学校や子どもの職場といった外との繋がりも出てきます。自立援助ホームいっぽで暮らす子どもの中には、発達障害や愛着障害を抱える子どももおり、関わり方が難しいと感じることも少なくありません。また、子どもと学校の間に入り、板挟み感やジレンマを感じることだってあります。そんな時に思い出すのが、あるスクールソーシャルワーカーの方の講演会でのお話です。不良少年がじっと地面を見ているので「どうしたの?」と声をかけたら、ダンゴムシをじっと見ていて、何てかわいい一面を持っているんだ、そんな一面を見ることができて嬉しかったと。私自身も、作ったごはんを喜んでもらったり、子どもたちから話しかけてもらったり、「ささいな喜びを感じることが、この仕事のやりがい」だということを、実感する日々です。

今後、積極的にやっていきたいことの1つの「社会福祉士」としての役割強化があります。社会福祉士には、他職種連携のコーディネーターとしての役割も求められます。いっぽにおいては、学校、保護者、就労先との連携の必要性が今後もっと出てくると思うので、一つひとつ経験を積んでいきたいと考えています。また、社会的養護の人が利用できる制度やサポートについても積極的に情報収集し、子どもたちの未来に繋げていきたいですね。また、子どもに対する関わり方を「科学化」していくことで、同じような事象が起こった時にスムーズに対応できるように、安定した支援が行えるように、体制を整えることが大切だと感じています。エビデンスに基づいた根拠ある支援を継続的に行えるようにしていきたいと考えています。

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※掲載されている情報は、2019年9月現在の情報となります。

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