2025/11/30
取材第46回-3週目 児童養護施設 美桜の杜[施設長]佐々木 仁美さん
施設の立て直しや2回の育休を経験。施設長として、こどもが「家庭」を想像し実家と思えるような場所にしたい。

施設長になる前から、長い間当法人 児童養護部で保育士をしていました。働き始めてから34年が経ち、その間に育休を2回取得しています。当法人は2007年頃から小規模化を始め、家庭的な雰囲気で育てる方針を定めています。例えば毎日のごはんは調理員を置かず、職員がこどもたちの食べたいものを聞いて、一緒に買い物をして施設内のキッチンで作っています。そうやってこどもたちに家庭のイメージをしてもらう目的があります。
普段、職員が楽しく仕事をしていたり、こどもと笑顔で話していたりするのを見ると安心します。法人としても職員が働きやすく、楽しい場所だとこどもも自然に幸せに育つ事ができるはずです。職員の健康も大切にしようと、職員が使えるジムを契約したり、プロテインや青汁をいつでも飲めるようにしたりしています。私自身も2回の育休を経験していますが、復帰できたのは楽しく働きやすい環境だからだと思います。
施設長になった今も、女子の部屋の宿直をやっています。髪の毛を整えてあげたり、リクエストでご飯を作ったりすることも。そうやってコミュニケーションをとりながら、必要な時にはきちんと注意とフォローをしています。こどもを褒めて、ゆっくり話をしながら、彼らをどのように社会へと送り出していくか考える日々です。私自身は素で関わる事、自然体でいる事を心がけています。
退所したこどもたちには、当施設をふるさとだと思っていつでも訪ねてきてもらいたいです。退所後、結婚する際に「証人になってほしい」と言われたり、こどもを連れてきてくれたりするのは嬉しいです。グラウンドの桜が咲く頃には、退所した子も花見に訪れるのが恒例になっています。私よりも当法人での勤務歴が長い職員もいますし、何年も働いている職員が多いので、実家に帰るような感覚でこどもにとって戻ってきやすい場所になっているのではないでしょうか。きっと家庭的な雰囲気をこどもも実感してくれているはずです。
当施設はたくさんのボランティアの方にご支援いただき、こどもに楽しい経験をさせてもらっています。私や職員からは得られない出会いや気づきが、将来を切り拓くヒントになるはずです。施設外の方からも「この人みたいになりたい」というモデルを見つけ、刺激を得てもらいたいです。そのためにもみなさんには、施設にも気軽に足を運んでいただきたいと思います。施設としては一時保護の子を受け入れる事が増えてきたので、こどもの受け入れ方について考えています。地域の中でどのような施設であるべきか、こどもが施設に入る前から、専門性を生かし、どのように協動していくかは今後の課題です。入所した子にはいろいろな経験をさせて、その子にとっての幸せを見つけてもらいたいです。
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