現状レポート

取材第49回-1週目 自立援助ホーム いと[児童指導員]鹿島 実緒さん

児童精神科の心理士から、自立支援ホームの児童指導員に!枠が決まっていないからこその難しさとやりがいを日々感じています

自立援助ホーム いと[児童指導員]鹿島 実緒さん(かしま みおさん)

当ホームでは2026年3月から、指導員として働いています。それまでは、心理士の資格を活かして児童精神科でこどもたちと向き合っていました。医療の現場で、精神障害や発達障害など様々な症例に触れ、学びを深めたいと考えていたんです。しかし、医療の場でのカウンセリングは多くても週1回、1時間程度。限られた時間の中だけでは生活全体を支えることが難しく、「もっと日々の暮らしを共にするなかでサポートがしたい」という思いから、自宅からも通いやすい当ホームへ転職しました。

当ホームでは、こどもたちの基本的な生活リズムを大切にしています。ホームにいる時間はどのように過ごしているか、共同スペースでみんなと過ごすのが心地よいのか、あるいは個室でゆっくりしたい気分なのか――そうした日常のさりげない様子から、気持ちの浮き沈みや小さなサインに気づけるよう心がけています。

児童精神科の心理士だった頃は、1対1でじっくり時間を決めてお話ができた分、関係性を築きやすい面がありました。現在は、あらかじめ決められた「枠」がないからこそ、日々の生活のなかで臨機応変さが求められますし、仕事内容もとてもマルチタスクです。時にはその場での瞬時の判断を迫られ、心理士としての視点をどう生かすべきか、まだ迷ったり難しさを感じたりすることもあります。周囲のベテラン職員のようにはいかず、自分の歩みの遅さに歯がゆさを覚えることもありますが、だからこそ先輩たちの対応から学ぶことが本当に多く、チームで支え合える今の環境にとても救われています。素敵な関わり方を一つひとつ吸収しながら、自分にできることを少しずつ増やしていきたいと、日々前を向いて奮闘中です。

最近、あるこどもから「他の職員にはちょっと直接言いづらいから」と相談を受ける機会がありました。後日、「その職員に私から伝えておくね」と話したところ、「いつも頼ってばかりじゃダメだと思うから、がんばって自分で伝えてみる」と言ってくれたんです。ささいな一言かもしれませんが、こどもが自立に向けて一歩を踏み出す瞬間に立ち会えたような気がして、これまでの日々の関わりの積み重ねが実を結んだ嬉しさで胸がいっぱいになりました。

一方で、ケガの危険がある行動を止める時などには、思春期特有の強い言葉を返されることもあります。それでも、大切なこどもたちを危険から守るためには、毅然と、かつ丁寧に向き合う姿勢が大切だと信じています。

さまざまな事情を抱えて、自立援助ホームで暮らすこどもたち。その背景を知って胸が痛むこともありますが、だからこそ、私は今「ここで生きるこどもたちのことや、ホームの存在をもっと多くの人に知ってほしい」と考えています。こどもたちがここから次の生活へと歩みを進め、社会に出たときに決して独りぼっちにならないよう、地域や社会との確かな繋がりをここからたくさん生み出していきたいです。

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※掲載されている情報は、2026年6月現在の情報となります。