現状レポート

2019/09/22

取材第28回-4週目 児童養護施設 梅ヶ丘学園 [支援係長・家庭支援専門相談員]野田 千尋さん

家庭復帰が叶うように、保護者の方にも寄り添い信頼関係を築いていきます

児童養護施設 梅ヶ丘学園 [支援係長・家庭支援専門相談員]野田 千尋さん

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私が児童養護に興味を持ったのは、子どもの頃に通っていた学童保育がきっかけです。その時にお世話
になった先生と今でもお付き合いが続いており、自分も子どもに対して長期的な支援を行いたいと思うようになりました。福祉系の大学へ進学後は、新卒で別の児童福祉施設に6年勤めた後、介護のため離職、その後「欠員があるので来ないか?」と声をかけていただき、こちらの施設にお世話になることとなりました。育休も2度取得し、今年の4月に1年半の育休から復帰したばかりです。職場の理解と、家族やまわりの理解があるからこそ復帰できました。

現在の主な業務は大きく2つあり、1つめの支援係長は、外部との交渉や調整、実習生の受け入れ、職員たちをまとめることを中心に行なっています。もう1 つの家庭支援専門相談員は、子どもの家庭復帰に向けての支援です。そのため、面会など保護者の方とお会いする機会も多いですね。保護者の方の中には、施設に対してマイナスのイメージを持たれている場合もあるので、子どもが家庭に帰ってから安心安全に暮らしていけるように、保護者の方に受け入れてもらえるように、子どもたちだけでなく、保護者の方にもできるだけ寄り添い、信頼関係を築いていくことを大切にしています。

時短勤務な上、外に出ることも多く、職員の人たちとはすれ違い勤務となることも多いので、コミュニケーションをしっかりとるように心がけています。「毎日、みんなにひとこと声をかけよう」と思いつつも、なかなか実行できていないのが現状でもありますが、子どもたちのためにも、いろいろな専門職がそれぞれの立場で子どもを支えているため、それが上手く子どもに反映されるよう、またどの職員にとっても働きやすく、長く続けられる職場環境を整えていくのも私の役目だと思っています。

施設で暮らす子どもたちと一言で言っても、いろんなケースの子どもがいます。例えば、保護者の方と一緒に暮らせなくても、気にかけてくれる人がいるということは、子どもの力になります。どの子にとってもできるだけ見守ってくれる存在が出来るように力になれればと思っています。また、それが難しい場合には、施設がその役割を担う、里親に繋ぐなどの支援をしていきたいですね。

関係修復により家庭に帰っていくのを見届けられた時は、ほっと安心すると同時に、この仕事をやっていてよかったと感じます。また、ここで18 歳まで過ごした子たちが巣立った後、訪ねてきてくれて「あの時はこうだったね」と思い出話をしてくれると、ここでの生活が少しでも役立っているのだとうれしく思います。特に今は担当の子どもを持っていませんが、それでも子どもたちが寄ってきて、名前を呼んで話しかけてくれるんです。そんな子どもたちとのふれあいがうれしく、日々エネルギーをもらっています。

今、当施設では「小舎に向けてどうなっていくのか?」が大きな課題であり、職員や子どもたちにとっても気がかりなこととなっています。しかしながら、どんな時でも、子どもたちはここで生活しているということを忘れてはいけないと思っています。また、今後求められていることに施設の「多機能化」があります。施設で暮らす子どもたちの支援だけでなく、「地域の子育て支援」を担う場所になっていく必要があるのです。そんな時に大事になってくるのが「誰でもできる支援」です。どの職員が担当しても、同じ支援ができるように、それぞれのこれまでの経験を踏まえながら、施設長を中心に職員で話し合い、梅ヶ丘学園独自の「倫理規定集」を作成・改定しバージョンアップをしています。どんな時も安心して子どもたちに向き合えるように、職員は一人1 冊ずつこれを持ち、日頃の支援に役立てています。

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※掲載されている情報は、2019年7月現在の情報となります。

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