2015/09/01

第1回 岡崎平和学園

「すこやかに、こどもたち」という理念のもと、

児童ひとり一人の自立を目指した支援を行っています。

岡崎平和学園[園長]上川 清玄さん

S_okazaki01 愛知県岡崎市にある社会福祉法人 岡崎平和学園は、戦後間もなく設立され、昭和28年に児童福祉法による児童養護施設として県内で5番目に認可を受けました。 以来、公私を問わず、地域の皆様方のご理解と厚いご支援、ご協力をいただき、現在では児童養護施設(本園・分園)と地域小規模児童養護施設「ひだまり」、「丸山寮」を運営。大舎制の本園に39名、小規模グループケアの分園に6名、合計45名。地域小規模児童養護施設「ひだまり」に6名、「丸山寮」に5名の児童が生活しています。「すこやかに、こどもたち」という理念のもと、それぞれの家での生活を大切にしつつ、園全体では、春は花見やドッチボール大会、秋は運動会など季節ごとに行事を開催。加えてソフトボールやフットサル大会など、地域子ども会や地元企業との交流にも積極的に取り組んでいます。

S_okazaki0609S_okazaki02S_okazaki03 左:エントランス 中:主任事務員 山田 敦司さん 右:ソフトボール大会、フットサル大会などに参加し、いただいた優勝カップや楯

岡崎平和学園[保育士]鳥居 美樹さん

★「何か私にできることがあるかもしれない」と思い、福祉の世界へ。
小さい頃からピアノが好きで、将来はそれを生かせる仕事に就きたいと思っていました。そんな中、中学2年のときに点字のテレビを見て福祉に興味を持ち、いろいろなボランティアにも参加しました。その後、大学の実習で岡崎平和学園に来ました。正直、その頃の岡崎平和学園はとても荒れていたので、就職するにあたって、本当にここでいいのか?という迷い、不安もありました。でも「何か私にできることがあるかもしれない」と思い決めました。

★子どもたちとともに日々成長しています。
私は小学生の男子3名を担当すると同時に、男子棟のリーダーをしています。仕事内容としては、子どもたちの日常生活のサポートや学習支援をはじめ、職員の統括、外部及び保護者対応など。子どもたちと関わる中で心がけているのは、まず気負わず一人の人として向き合うこと。もちろん、時には厳しく叱ることもあります。でも日常、子どもたちと一緒にテレビを見ているときなど、私は笑ったり泣いたり、素直に感情を出します。それは自分自身の喜怒哀楽をストレートに伝えることが子どもたちの成長に繋がるのではないかと思うから。また今だけでなく、いつかここから巣立っていくことを考え、何かあったときに手を差し伸べることが本当に必要か否か?一歩引いて考えるようにもしています。子どもたちの成長を見守り支えていくということは、子どもの成長が一番の喜びであり、その過程の中で私たちも一緒に成長しているんだと思います。

★進路選択の厳しい現状。
多くの場合、子どもたちは高校卒業と同時に施設を退所します。そのため早い段階から自立に向けた進路選択をする必要があります。しかし進学希望者の場合は経済面の問題、就職を希望しても保証人の問題で住むところが借りられない。実際、こうした問題で苦しんだ子はたくさんいます。また残念なことですが、施設出身者というと、どうしても悪いイメージを持たれてしまうんです。実際、施設の子が就職を希望した会社の方が事前訪問を希望されるケースもあります。施設を退所する子どもたちがどう自立していくか。私たちにとっても退所後支援は大きな課題です。

★励みは、施設を巣立った子どもの自立。
保育士として施設に勤めて17年、いろいろなことがありましたが、常に励みになっているのは、子どもたちが自立してここに帰ってきてくれることです。それが頑張れる原動力であり、私たちのやりがいに繋がっているんだと思います。例えば以前、施設を巣立って自立した子が結婚した奥さんを連れてきて「ここが僕の第二の実家なんだ」と言ってくれたことがありました。そのときは本当に嬉しかったですね。また、そういう関係性を築けていたことを嬉しく思いました。だからこれからも、子どもたちに「いつでも帰っておいで」と言える場所、子どもたちがいつでも「ただいま」と言って帰って来れる岡崎平和学園を守っていきたいですね。

S_okazaki04S_okazaki08S_okazaki06 左:園内保育スペース「パンダ組」 中:本園ホール。岡崎平和学園で暮らす子どもたちみんなの共有スペース。 右:自由に利用できる図書。子どもたちの作品も。

岡崎平和学園[保育士]近藤 大介さん

S_okazaki05 ★保育士として働く母の背中を見て、自分も保育士に。
大学は全く分野の違う経済系の学校に通っていたのですが、保育士をしていた母を見ていて、子どもと関わる仕事に興味を持ちました。そして小学校で野球やサッカーなど、スポーツ指導のボランティアに参加する中で、今までできなかったことができるようになっていく子どもたちの姿を見たとき、子どもをサポートする 仕事のやりがい、喜びを感じました。そして自分は子どもたちから必要とされているんだなと感じることができ、保育士への道を目指しました。

★子どもたちの成長を職員みんなで見守る。それが平和学園のスタイルです。
中学2年と高校3年の女子4名を担当しています。特に来年高校卒業をひかえた3名は、まさに自立に向けて大切な時期を迎えています。いずれにしてもここに来る子は、いろいろな傷を抱えてきた子どもたちなので、自分がその子たちをどう受け入れ、自分をどう受け入れてもらうかという点が、とても難しい部分ではあります。僕の場合、担当する子が女子なので、性別の違いもあり介入しづらいところもあります。悩んだときは他の職員など、まわりに相談したり、みんなで助け合いながらやっています。それぞれの担当はありますが、職員同士の連携を大切にし、職員みんなで子どもたちを見守っていくというのが岡崎平和学園のスタイルです。

★思いやり溢れる小学2年生の言葉に感動!
僕はこの仕事に就いて8年になりますが、以前、小学2年の女の子を担当していたときのこと。ちょうどクリスマス前で、今年はどんなクリスマスプレゼントをサンタさんにお願いしようか?と話していたところ、その子が「枕が欲しい」と言うんです。まだ幼い女の子がなぜ枕を欲しがるのかと思い、聞いてみたところ 「近藤先生が私の横で寝てくれるときの枕だよ」という返事。思いがけない言葉に驚くと同時に、とても心が温まりました。この仕事をやってて本当に良かったと思えた瞬間でした。

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※掲載されている情報は、2015年9月現在の情報となります。

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