お喜びの声

2020/03/08

取材第30回-2週目 児童養護施設 ゆうりん [児童指導員]野村 舞さん

大人は信頼できる存在であることを伝えていきたいです

児童養護施設 ゆうりん [児童指導員]野村 舞さん

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心理学系の大学を卒業後、平成24年から「ゆうりん」の職員となり、今年の春で8年目を迎えます。ゆうりんには、男女3つずつ全部で6つの小舎があります。その中の1 つ、3歳・年長・小3・小5・小6・中3・高1 の7人の女の子のホームにて、児童指導員として、子どもたちの日常生活をサポートしています。また、小3・高1 の子の担当職員として、保護者の方とのやりとりを行うなど、その子の家庭を含めた支援も行っています。

この仕事を選んだきっかけは、「子どもに関わる仕事をしていきたい」との思いがあったからです。高校生の頃から、子ども関係、中でもより福祉に近い分野に興味があり、色々と調べていくうちに、児童福祉施設の存在を知りました。心理学の分野にも興味があったため、大学は心理学部へと進学し、ゼミでは児童福祉・児童心理を専攻。大学時代から、施設の見学に行くなどしていました。京都の大学に通っていたのですが、就職は地元である名古屋でと考えていたため、名古屋市内の3つの施設を見学。「ゆうりん」に電話をした際に、就職説明会があると声をかけていただき、参加しました。小舎に建て替えてから3年ほどだったこともあり、子どもにとっても自分にとってもよい環境だと感じ、お世話になることを決めました。

職員になった当初は「こんな大変な仕事があるのか」と、衝撃の毎日でした。1〜2年の間は、こどもたちとの関わりを大切にしよう・楽しもうと考えていましたが、次第に、ただ関わるだけではなく、子どもたちが「自立」していけるように導いていくことが、自分たちの役目だと感じるようになったんです。小舎制の施設では、子どもに対し、より家庭に近いきめ細やかな支援ができる、子どもたちそれぞれの要望を叶えやすいなどのメリットがあります。反面、1つのホーム(定員7名)を職員3名の交代勤務で対応するため、問題行動などが起こった際に1人で対応しなくてはいけないことも少なくありません。瞬時の判断が必要なことも多く、後から「あれでよかったのかな」と思うこともあります。だからこそ、1人で抱え込んでしまわないように、職員同士の連携を大切にしたいですね。

忘れられないのは、2年目の時。宿直で見回りをいている時、隣のお部屋の男の子に「どうせ、お金のためにやってるんだろ」と言われたことです。長く続けている職員しか信用できないと話すその子に、「生活をしていくためにお金は必要だけど、それだけじゃない。お金のためだけだったら、もっと違う仕事に就いてるよ」と伝えたのですが、いろいろと考える「きっかけ」となる出来事でした。今では、その子も社会人として自立し、時々遊びに来てくれますが、いつかこの時の話をしたいなと思っています。
施設で暮らす子どもたちの多くは、それまでの環境から、人を信頼できない子も少なくありません。時間をかけて、子どもたち一人ひとりと向き合っていくことで、人を信頼していいんだ・頼っていいんだということを伝えています。子どもが一人で抱え込まず、「SOS」を出してもらえる環境を整えていきたいですね。

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※掲載されている情報は、2020年1月現在の情報となります。

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