現状レポート

2019/04/01

取材第24回-1週目 児童養護施設 慈友学園 [栄養士]井上 祐貴さん

子どもたちに“食”の楽しさ、大切さを伝えていきたい

児童養護施設 慈友学園 [栄養士]井上 祐貴さん

児童養護施設 慈友学園 [栄養士]井上 祐貴さん

学校を卒業後、レストランでの勤務経験を経て、平成19年より慈友学園で、栄養士として働いています。
もともと料理が好きだったんですが、他界した祖父に高校3年生の頃に、時々作ってあげた料理をとても喜んで食べてくれたこのことがきっかけとなり、おいしい料理を作って、誰かの喜ぶ姿がもっとみたいとおもい料理人の道へ進む事にしました。そして、調理の技術や“食”に関する知識をもっと深めたいと思い、栄養士の資格も取りました。

今は、子どもたち・職員たちの食事の献立を考えることと、毎食の調理業務を担当しています。献立の内容については、できるだけ子どもたちの要望を取り入れられるように、各ユニットを食事中に訪問し、子どもたちから意見を聞くようにしています。冗談で「キャビアが食べたい」など、なかなか実現が難しい要望もありますが、「オムライスが食べたい」「たらこクリームスパが食べたい」などすぐに要望に応えられる献立の時は、すぐに献立に取り入れることもあります。
子どもたちの正直な声をダイレクトに聞けることは楽しく、仕事のやりがいに繋がっています。

ほかにも、子どもたちと一緒に料理をする、調理体験にも力を入れています。
子どもの年齢や興味に合わせて、りんごの皮むきをしたり、鍋を囲んだり、魚の天ぷらを作って出来立てを食べたり、一般の家庭と同じように、食卓を囲みながら、色々な体験をさせてあげたいと思っています。

また、栄養士として1番大切にしているのは、安心・安全な食事です。衛生面に気を配り、厨房や調理器具などをいつもきれいに保つように心がけています。厨房には、私を含め5人の職員がおりますが、調理スタッフとして、「子どものために何ができるか」を共通の目標とし、それぞれが“食”を通じて子どものために何ができるか?を常に考えて、日々行動しています。

今後さらに力を入れたいのは、自立していく子への食育、食事に関するサポートですね。慈友学園は男の子だけの施設なので、男の子への指導にはなりますが、自立していく中で、食事で困ることのないように、「自立ハンドブック」の食事編を作りました。例えば、必要な道具の選び方、食材の保存法、簡単な食事の作り方などを掲載しています。
施設を出ていく子どもたちは、一人暮らしをすることも多く、きちんと食べないと、日々の体調管理も難しく、仕事などにも影響してしまいますから、食事を食べる事の大切さを教えていきたいです。ただ、毎日無理する必要がないことも伝えたいです。例えば、慣れないうちは、インスタントラーメンにカット野菜を炒めて入れるぐらいの簡単な食事でもいいんです。簡単なこと、できることを1つずつでいいからはじめて、徐々にできることを増やして行ってほしいです。

食事に関することで、子どもたちや卒園していった子たちが気軽に自分を頼ってもらえるように、子どもたちとの関係性を今後も築いていきたいと考えています。

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※掲載されている情報は、2019年3月現在の情報となります。

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