現状レポート

2024/08/01

取材第39回-1週目 自立援助ホーム バードハウス[施設長]河内智行さん

私にできるのは、子どもの背中を押すこと。家庭のような場所にするため、自由に何でも言える雰囲気を大切にしています。

自立援助ホーム バードハウス[施設長]河内 智行さん(かわち ともゆきさん)


名鉄小牧駅から徒歩5分の場所で、小規模な自立支援ホームを運営しています。グループホームだった建物を借り、改装して2023年4月に開所したばかりです。建物は古いですが部屋が広く庭もあり、のびのびと過ごせる環境だと思います。現在は16~18歳までの男の子6人が共同生活を送っています。
私の実家では、長年里親やファミリーホームをやっていました。私も2歳ごろから社会的養護下にある子どもと生活していて、本当の家族のように一緒に育ってきた感覚があります。社会人になってからはしばらく理学療法士として働いていましたが、いつも両親の姿を見ていて、私も何かやり遂げたという充実感を感じたいと思い、自立援助ホームの運営を決めました。今は両親や弟の力も時折借りながら、日々子どもたちと向き合っています。

当ホームは大規模な施設と比べると職員の数は少ないですが、看護師やライター、専業主婦などさまざまな職業の人がかかわっていて、さまざまな角度から積極的に意見を交わしています。家庭のように何でも言える雰囲気が目標です。私自身も、職員や子どもから毎日怒られながら仕事しています。
当ホームで大切にしている事は2つあり、まずは「家庭」が大きな柱です。児童養護施設よりも家庭のような場所である事を心がけています。次は、子どもが自分で決める力を大切にする事です。自分で考えて行動した経験が少ない子どもが多く、どうしたいかを問いかけても分からないと答える事も。当ホームでは大人になる一歩手前の子どもたちが暮らしているので、退所した後も自分で生活をしていけるよう、自分で決めて行動に移す力を身に着けてもらいたいです。すぐ答えを教えたくなるときもありますが、子どもたちが自分で考える力を大切にするため、見守るようにしています。

私は幼い頃から児童養護の世界を間近で見てきましたが、いざ自分が自立支援ホームを運営してみると、難しい事ばかりです。子どもをどのように社会へと導いていくかを考えるのは難しいですね。児童養護施設に対する世間のイメージを初めて知ったのも、自立支援ホームを運営してからの事でした。
大変な事もありますが、毎日が思い出や刺激にあふれた生活です。特に、辛い経験を乗り越えたあとの笑顔や、嬉しそうな姿にやりがいを感じます。目標を一緒に達成できたときの感覚もたまりません。忘れられないのは、退所した子どもが泣きながら「一緒にいてくれてうれしかった」と言ってくれた事。退所した子どもには、「お腹がすいたらいつでも帰っておいで」と伝えています。実家のような距離感でいたいと思います。

私にできるのは、子どもへの手助けと背中を押す事です。何か特別なことをしてあげようと考える必要は無いと思っています。みなさんには、子どもが笑顔で過ごすために単発での支援ではなく、息の長い支援をしていただけると嬉しいです。一緒に笑って楽しく過ごしたい方はぜひ一緒に活動しましょう!

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※掲載されている情報は、2024年5月現在の情報となります。

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