現状レポート

2024/12/15

取材第42回-2週目 ファミリーホーム ゆりちゃんハウス[補助員]百合草 真里さん

里子とともに育った幼少期。今は子どものお姉さんや相談役として、子どもの居場所であり続けたい

ファミリーホーム ゆりちゃんハウス[責任者]百合草 真里 さん(ゆりくさ まり さん)


私は里親をしている家庭に産まれ、里子とともに育ちました。子どもの頃一緒に生活していた里子は2人ほどでしたが、里親からファミリーホームゆりちゃんハウスへと移行し、里子が増えました。私が結婚して自立した後、母が心配して電話をかけてきても、逆に母のほうが大変そうで心配になったのを覚えています。高齢の父や母だけで、生後数か月の赤ちゃんを育てながら、知的障がいや行動障がいのある子どもと一緒に暮らすのは大変なはず。両親を助けるため、ゆりちゃんハウスを手伝いたいと思い始めました。その後同じ敷地内に家を建て、里親の資格を取り、今ではゆりちゃんハウスの補助員として申請や請求業務を行ったり、両親の手の届かない部分の補助をしたりしています。

今は、里親資格を取得するとともに、心理カウンセリングも勉強したので、必要であれば子どもの心のケアもしています。ある子にとってはお姉さん、相談役、父や母に怒られた後の居場所…その子にとっての必要な関わり方を意識して支援をしています。

ゆりちゃんハウスに来る子はやんちゃで元気な子が多いです。また、一緒に暮らせない環境下の子でも実親に対する理想はきちんと持っているのだと思います。とある日、産まれたばかりの私の実子に授乳している姿を子どもが不思議そうに見つめていました。「飲んでみたいの?」と聞くと「うん」と答えたので、何人かの子どもに母乳を飲ませてみたら、おねしょなどの問題行動がピタリと止まったのです。不思議な体験でした。甘え直しができ、その子に必要な何かを満たせたのでしょうか。施設の職員としてでは、できない事だと思います。ファミリーホームでは毎日の日常をとおして、本当の母親と同じようなことをしてあげられます。それを改めて実感できた出来事でした。

母は里子だけでなくその親への支援にも力を入れています。普通はそこまでできないと思います。里子の中には、実親と口を利きたくない子も多いでしょう。にもかかわらず支援をするのはすごいことです。私は補助員として、事務作業のサポートはこれまで通り円滑に進めていきたいと思います。そして、ファミリーホームを両親の代で終えるのではなく、存続していきたいです。子どもたちの居場所がなくならないように…ファミリーホームの根底にある家庭養育はとても良い考え方だと思っています。

里子とともに育ち、里親の資格を取った私としては「里親になりたい」と思う人が少しでも増えてくれたら嬉しいです。悲しい経験をする子どもが減り、もっと子育てがしやすい世の中になるのではないでしょうか。一時保護で数日預かるだけでも良いと思います。里親を支援してくれる場所やネットワークもあります。少し「やってみても良いかな」と思う人が増えてくれれば、嬉しいです。これからも私は両親と同じように子どもにたっぷりと愛情を注いでいきたいです。

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※掲載されている情報は、2024年9月現在の情報となります。

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