現状レポート

2025/04/20

取材第44回-3週目 児童養護施設 名古屋文化キンダーホルト[学童職員]宮本 泰地 さん

家庭復帰した子からの気づき。児童養護施設へ子どもを預けている親御さんにも色々と事情があるということ。

児童養護施設 名古屋文化キンダーホルト[学童職員]宮本 泰地(みやもとたいち)さん

大学時代から放課後デイサービスやボランティアで経験を積み、今はキンダーホルトの学童職員として働いています。児童養護施設を就職先に選んだのは、子どもたちと直接関わる仕事がしたかったから。当施設の第三者委員に大学時代のゼミの先生がいた事もあって、キンダーホルトで働くことにしました。

キンダーホルトの学童では、数人のスタッフでたくさんの子どもを見ています。放課後デイサービスでの経験もあるからか、自分には、たくさんの子どもと一度に関わる体制のほうが合っていると感じています。しかし、一人ひとりと向き合う時間の大切さも感じつつあって、考え方が柔軟になったように感じます。

児童養護施設で暮らす子どもたちは、精神的に満たされない経験をした子も多くいます。大人の対応一つひとつに敏感なのではないでしょうか。見捨てられたと感じてほしくないので「遊んでほしい」という声にはなるべく応えられるように意識しています。出勤した瞬間にたくさん声をかけられるので、スケジュールを組んで、一人ひとり個別に時間を取れるようにしています。私自身も、子どもたちのやっていることに興味があります。子どもたちの間で流行っていたカードゲームを始めてみたら、意外と熱中してしまい休日に大会に出たことがあるほどです。tiktokを見たり、流行りのyoutubeなどを見たりして子どもたちの流行に乗り遅れないようにしたいですね。

一時期、担当していた子がゲームに熱中し、部屋に閉じこもってしまったときがありました。ゲームに熱中するのは悪くないのですが、ゲームしか見えていない状況を変えようと思い、日間賀島への日帰り旅行を提案しました。島で何をするかは子どもたちが調べて計画し、ゲームを忘れて思い出作りに熱中。自転車で島を一周したり、砂浜を走ったり、写真を撮ったりして…私にとっても良い思い出です。その旅行以降、子どももゲーム以外のことに目がいくようになり、他の子ともコミュニケーションが増え、表情も明るくなったと感じています。子どもたちだけで計画して、決める事ができるようになったのかと感動しました。

最後に、児童養護施設への入所の理由は様々です。どうしても、メディアなどの報道では虐待のような悪い面ばかりが取り上げられて、親御さんに対して悪い印象を持ってしまうことがあると思います。でも、親御さんの中には、どうしてもの事情をお持ちの方もいらっしゃいます。その事情に応じて一時的に頼って頂くのも、児童養護施設の役割の一つです。ですから、児童養護施設に子どもを預けている人が、悪いことをしている人というような決めつけはしてほしくないです。

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※掲載されている情報は、2025年3月現在の情報となります。

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