お喜びの声

2020/03/01

取材第30回-1週目 児童養護施設 ゆうりん [施設長]小尾 康友(おび・やすとも)さん

これからを生きていく子どもたちを支えることが私たちの使命です

児童養護施設 ゆうりん [施設長]小尾 康友さん

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児童養護施設「ゆうりん」を運営する、社会福祉法人中央有鄰学園は、明治33年、豊橋育児院として設立。その後、昭和37年に現在の名古屋市緑区に移転しました。施設の老朽化に伴い、平成22年には全面改築が行われ、現在の中庭を囲むように「児童養護施設」と「乳児院」を併設する形に整えられ、以来どちらも完全小規模化しています。また、完全小規模でありながら、中庭を中心に長屋を意識した建物配置をとっており、それぞれのユニット間で自然に繋がれるように、配慮されています。それぞれのユニットが子どもたちのお家であり、家庭に近い環境で暮らしているのが、「ゆうりん」の特徴です。

「有鄰」とは、論語の中にある言葉ですが、子どもたちの「隣にいられるように」、「いつも隣にいるよ」という思いが込められています。ここでいう「子どもたち」は、今、施設で暮らしている子はもちろん、巣立っていった子たちのことも含まれています。巣立っていった子どもたちにとっては、まるで実家のような存在である「ゆうりん」。年間220日くらいは、卒業生の誰かが泊まりにきます。中には、週3•4ペースで訪ねてくる子や、結婚後も「心配だから」とすぐ近くに住む子もいるほどです。施設で暮らす子どもたちが「自立」して暮らしていけるように、支援するのが私たちの役目でありますが、退所した後も継続的に見守っていくことが大切だと感じています。

辞書をみてみると、自立とは「なんでも自分でできること」とありますが、自分でやらなくちゃ!と一人で抱え込むのではなく、誰かに頼ることも大事なのです。だからこそ、無理せず少しずつ自分の道を歩めるようにサポートしていきたいと考えています。子どもたちがこれからの人生をすこやかに生きていけるように、「ありのままでいい」ということ・誰もが一人ひとり大切な存在なんだと伝え続けたいですね。私自身の話となりますが、第三世界や貧困、社会の裏側について興味があり、福祉を学びたいとの思いから、福祉学部へと進学。大学3年生時には、「第三世界の地域社会開発」を学ぶためにフィリピンを訪問。現場を見ることの大切さ、支援のミスマッチの現状を目の当たりにしました。支援とは「上から救う」のではなく、「どうやって生きていくのかを支える」ことだということは、日本で社会福祉を必要とする子どもにも通ずることです。福祉とはどういうものなのか、この時の経験が自分の支援に対する姿勢を作ってくれたと感じています。

「ゆうりん」では、平成16年から新卒の児童指導員として勤務し、平成31年4月に施設長に就任しました。私がこれまでの施設長と異なるのは、選挙を行い自身の立候補により就任したこと・任期が3年間と決まっていることです。施設の中のひとりの人に権利が集中することのないように、また施設全体の風通しをよくしていきたいです。また、子どもはもちろん、職員にとっても働きやすい快適な職場環境を整えていくことは、子どもたちの支援へとつながっていきます。施設長として、子どもたちに必要な支援がうまく届くように、施設全体の「仕組み」を残りの任期の間に構築していきたいと考えています。

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※掲載されている情報は、2020年1月現在の情報となります。

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