現状レポート

2023/10/09

取材第34回-1週目 児童養護施設 宇宙[施設長]熊澤 裕司さん

子どもたちにはのびのびと笑顔で育ってほしい。志の高い職員が集まる施設です。

児童福祉施設 宇宙[施設長]熊澤 裕司(くまざわひろし)さん


社会福祉法人清修会が運営する児童福祉施設宇宙(そら)は、就学前から高校3年生までの子ども39人が暮らす中舎制の施設です。設立からまだ12年ほどで、若い職員が多いのが特徴です。
私が施設長になったのは2022年から。定年まで公務員として働き、定年後は市のスポーツ協会で3年ほど働いていました。これまで、児童養護施設や福祉関係の部署で働いた経験はありませんでした。ずっと市役所の中で働いていたので、今度は違う場所で仕事をしてみたかったのと、児童虐待などのニュースを聞くたびに心を痛めていたのもあり、なんとかして手をさしのべたいという思いで施設長になることを決めました。

児童養護施設で働いたことがないにも関わらず、職員はよく私を施設長として受け入れたと感謝しています。職員から子どもたちへの想いや志の高さを感じるたび、率直になんとか協力したい!と思っています。
施設も働いている職員も若いことが特徴の施設ですが、歴史が浅いため、イレギュラーな出来事やトラブルへの対処方法がマニュアル等で確立できていない点はまだまだであると感じています。時には他の施設の例を参考にさせていただきながら、当施設に取り入れられないかどうか勉強をさせていただき、より良い施設運営を心掛けています。

今、私自身の課題ととらえているのは、子どもとの関わり方です。子どもが学校に通っている間はなかなか話す機会がありません。夏休みなどの長期休暇になると平日はなるべく子どもたちの顔を見たり、話をしたりするよう意識しています。学校公開など、行事も可能な限り参加したい。施設長として、自分なりに子どもと触れ合う機会を作るようにしたいです。
子どもたちには元気でのびのびと、明るく笑顔で育ってほしい。登下校の際も、元気にあいさつをしてくれた時は嬉しいです。挨拶や会話にも子どもの成長を感じることがあります。子どもたちの笑顔が見たくて、行事やレクリエーションの時には、ついはりきってしまいますね。

先日、とある養護施設を取材した新聞の連載で「ただ親の愛がほしかった」という見出しを目にしてはっとしました。当施設で暮らす子どもたちも同じ気持ちを持っているのではないでしょうか。当施設ではさまざまな事情を持つ子どもが入所していますが、親や家族のいる子どもたちからは、家族のもとへ帰りたいという強い気持ちを感じます。少しでも早く家族のもとで暮らせるようにしてあげたいですね。

また、子どもには声かけや、やさしさに触れる機会が必要だと切に感じています。コロナ禍だったため実現はできませんでしたが、子どもたちと動物とのふれあいを企画したこともありました。様々な触れ合いの機会が増えれば、子どもたちも新たな気づきや喜びを感じるのではないでしょうか。当施設が、今後も子どもたちが安心して暮らせる居場所になれるように、地域の皆様と一緒になって子どもたちの成長を見守って行きたいと考えています。
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※掲載されている情報は、2023年9月現在の情報となります。

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